弘済院第1特養のもっとも喫緊課題は、介護職員の確保と利用率の低下防止らなります。介護職員の確保は全国的な課題ですが、都市部においては本当に深刻な課題になっています。

弘済院第1特養のような大規模施設の場合は、職員確保の安定性がなければ事業運営が成り立ちません。給料を上げれば介護の仕事に人が集まるというのは幻想でしかあり得ません。これからの時代、高齢者介護が確実に増加しますが、それに伴う介護職員の増加は望めないというのが厳しい現実なのだと思います。それは時代の流れであり、日本という国が抱えている過剰なまでの衛生観念や、人間関係の希薄性が介護の仕事を選択するときに影響を与えているのです。どんなに呼びかけても若いチカラに頼るのは無理だと思います。10年ぐらいのスパンで考えると、介護労働は外国人労働者に頼らざるを得ないというのが現実なのです。施設職員の半分ぐらいが外国人労働者が占める時代が来るのではないかと危惧しています。50年ぐらいのスパンで考える介護労働は人型ロボットが行う時代になるのではと思います。それらを想定した介護の未来を描きながら介護職員の確保に努力したいと思います。

利用率の低下という現象は弘済院第1特養特有の問題だと思っています。在宅サービス部門(デイサービス、ホームヘルプサービス、介護支援など)を持っていないので施設単独で入所を進めなければなりません。しかも看取り介護の増加により、入退所が非常に多くなってきました。例年なら毎月、4人~5人の退所が、今年度は7人から8人に増加しています。この入れ替わりのスピードに現場はついてこれないのが現状です。その結果、空床が増えてきて利用率が低下しています。なんとかそれを食い止めるために職員が一丸となってがんばっていますが、現実の進行の方が早いというジレンマの中で悩んでいます。頭の中で切り替えていかなければ、このような時代の流れに対応できなくなります。

二つの課題を職員みんなが認識して解決に向けて努力しているのが現状です。情報を共有しながら、問題点を認識し、改善すべきところをみんなで取り組んでいく、そんな施設作りをおこなっています。背水の陣の中でがんばることで、一体感も生まれ、共有する目標も生きてくるのではと思います。しんどい課題だからこそ、その解決に向ける努力がおもしろいとも言えます。