特養のプラトー

特養で話題になったりならなかったりする様々な件に対して、ちょっとだけ首を突っ込んだり、突っ込まなかったりするブログです。

特養

平成29年度「敬老の日」の1階飾り棚のテーマ

敬老の日に向けて、毎年、1階のエントランスホールの飾り棚に近隣の花屋さん「花粧」さんが花を生けてくれる。これがいつも立派な花で両脇の胡蝶蘭と共に豪華な雰囲気を醸し出している。今年はこの飾り棚をちょっと工夫してみた。茶系の壁を白にする。モダンなイメージにして、そこに名画の複製画を三つ置いた。

ルネ・マグリット「大家族」を真ん中に、左にはシャガール「ヴァンスの恋人たち」、右にはパウル・クレー「冒険の船」を配置してみた。この三つを選んだ理由は別にないけれど、強いて言えば施設のイメージを大家族で表現し、恋人たちの温かさは介護のイメージ、そしていつまでも冒険心を忘れない先駆的な試みを冒険の船で象徴してみた。たくさんの人が生活している老人の施設であるが、究極的には家族のようなつながりがほしい。介護の現場の温かさは突き詰めれば恋人とのやさしさと温かさと愛情のようであってほしい。そして、仕事の上ではいつも冒険心を忘れずに新しい課題に挑戦していきたい。この冒険心こそがサービスの質を確実に上げていく原動力だと思っている。冒険を忘れてしまった現場ではサービスの質は停滞してしまう。その意味ではこの三点の絵は、今の弘済院第1特養という施設の特徴を的確に表現しているなんて強引に考えることもできる。

夜には星空の中に絵画と生け花が包まれるファンタジックなイメージも楽しみたい。そのためにはコストコで購入した二つのツリーライトも一役買ってくれるかもしれない。敬老の日のお祝いに施設できるささやかなアートなプレゼントと思ってほしい。

福祉施設の情報共有の大改革が始まっている

今まで福祉施設では情報共有が大切だと言われながら、その旧体質からなかなか脱出することができなくて情報がまったく共有できていない状況が続いていた。介護保険制度共に現場にパソコンが導入はされてきたが、その活用となるとまだまだできていない。弘済院第1特養は全国8千カ所の特養の中でもトップレベルのICTが進んでいるが、それでも情報共有がなかなか進んでいなかった。

それがたった二つのアプリのおかげで状況が大きく変わろうとしている。chatworkとデスクネッツNEOのアンケートである。chatworkを使うとリアルタイムで情報共有が可能になり、職員全体がいろいろなテーマを理解して動いていけるようになる。また、デスクネッツのアンケートは研修や会議の結果を周知してエクセルのデータで結果分析が可能になる。アンケートツールのクエスタントなんかもおもしろいが、今のところはデスクネッツで十分だ。この二つはパソコンのアプリの中でも画期的なものだと思う。これをどのように使いこなすかが問われてくる。

使い方についてはまた詳しく紹介したいが、今の弘済院第1特養の組織としての情報共有はすごいことになっているのではと感じる。これを1年続けていけば組織のあり方が根本的に変わっていくだろう。情報共有としては極めて革命的なツールと言える。それは古い時代の古い体質をぶっ壊していく過激なツールとも言える。まあ、そういうことを感覚的に分かっていない人が多いわけだけれども、僕の体感としてはすごい革命が起こっているのを日々感じている。

情報公開を推進すると管理者の負担は増える

社会福祉施設における情報の在り方、取り扱い方に関心を持ち、施設において積極的に情報公開を行っていくということは結構大変なことなのだと思う。情報の取り組みの度合い意気込みによって、それに伴う管理者の情報処理量は増えていく。限られた時間の中で考えると、何かを削って時間を作らない限り情報管理ついては納得のいく仕事はできない。管理者が施設の業務のすべてを知っていて、すべての業務に口出したり関与するということは不可能である。出勤時間という限りがあるのだから、その中で工夫をしながら時間を有効に使うしかない。

理想的には50人程度の定員の特養がもっとも質の高いサービスを提供できるのではと考えている。このぐらいの規模なら30人程度の職員の管理をすれば事足りる。このぐらいの数が一番把握しやすい。職員会議を月1回開くだけでいろんなことを周知することが可能な人間関係の濃密さがあると思う。内部研修なども年数回すればお互いの考え方が見えてきて相互に理解できる。職員の人間関係は家内制手工業のような段階とも言えよう。この施設が少しずつ大きくなってくるとこういう関係性では回らなくなってくる。マニファクチュアから機械制大工業へと発展する段階を考えると、弘済院第1特養はマニファクチュアの段階にとどまっていると思う。どちらにせよ家内制という身近で濃密な人間関係は崩れてしまっている。

規模の小さい施設の職員が30人とすると、弘済院第1特養(定員270人)の場合は厨房職員を除いても150人の職員がいる。単純に考えると職員の人事管理に5倍の労力がかかる。ところが、そこに情報公開の要素が絡んでくると複雑になってくる。例えば月1回の会議ですべてのことが周知できる施設があるとする。小規模施設なら人間関係が濃密なのでこういうことも十分可能だと思う。弘済院第1特養の場合は、職員会議、主任会議、サービス改善会議、ユニットリーダー会議、給食会議、事例検討会、ケアマネージャー会議、入所選考委員会、12ユニットでのそれぞれのユニット会議等が月1回開催。毎月平均8回開催している内部研修会。感染症対策、褥瘡予防、身体拘束廃止、虐待防止などの各種委員会の会合、月3回程度開かれる看取り会議などを入れると1カ月に40回ほどの会議や委員会が開かれている。当然すべてに出席はできないので、それらの会議の把握は事後報告に頼らざるを得ない。グループウェアのデスクネッツNEOでこれらの報告書が回覧され、ビジネスチャットのchatworkでそれぞれの会議の開催予定や会議速報が流れる。それらをすべて読んで、指示を出し、コメントを書く。会議だけでこの分量なのだ。それに加えてレクリエーション関係の報告、入退所の状況に関する把握、職員採用(常勤、非常勤)についての指示、食事サービスに関する指示など、いろいろ考えると半端な数ではない情報量である。これらの情報処理だけで、小さな施設の100倍ぐらいの労力が必要になってくる。

僕はどちらかというと、ケース記録やケアプランを見て、共に考えたり指示を出したりするのが好きなのに、その部分はそれぞれの部署の主任に任せざるを得ないのが現状である。こういう多様な情報処理が日々なければ、それらに費やす時間で利用者の中に入り、ケアプランを理解し、家族と仲良くなり、職員に深く関わることができるので、じつに家庭的な施設運営が可能になると思う。僕にとっての理想の施設だ。しかし、現実はそれを許さない。

ここの施設の管理は、たぶん他の特養の施設に比べるとちょっと忙しいのかな。というよりマネジメント感覚がなければ運営できないのではと思う。自分自身の反省としては、もう少しコンパクトに仕事ができれば、労務管理や人事管理も充実するし、実際のケアについても深く介入することができるのに、なかなかそこには行き着かない。1日3回の館内巡回(自分の日課に組み込んでいる)すらできない日もあり、デスクワークが続くと座っている時間が増える。こんな時にApple Watchが「立ち上がりなさい」と警告を出してくれるので、僕の一番の友達は今のところApple Watchなのかもしれない。

そんな大規模施設の管理をしてきてようやく5年間が過ぎた。本当のところ毎日が勉強であったと思っている。次々と困難な課題が出てくるけれど、それをみんなと一緒に解決していくことは結構楽しいし、やりがいもある。楽天的性格なのか、60歳を過ぎて毎日こんなに勉強できるのは大変恵まれている環境だと考えるようにしている。もちろん、スタッフの協力があればこそこんな大きな施設を運営できているわけだから、優秀なスタッフと出会えたことが一番のメリットなのかもしれない。優秀で楽しいスタッフがいるからこそがんばれるのだと思う。

若い頃に比べると体力は落ちているしメンタル面の耐性も低くなってきている。いろんな項目でマイナス面は出てきているが、逆にプラスの面も増えてきていることも事実である。年齢的に長くは勤まらないが、限られた時間の中でひとまずがんばっていきたい。(全力でがんばるなんて恥ずかしくて言えない歳なので、自分で納得できる仕事をしたいというところにとどめておきたい)

ポスターのトリミング(追加修正)

秋祭りのポスター制作を考案していたときに、写真のトリミングのおもしろさに偶然出会った。平凡な写真が大胆に切り取ることでインパクトあるものに変化する。写真は撮影も楽しいけれど、トリミングなどの編集も楽しい。最近はiPhoneですべてを済ましてしまうことが多いが、ポスターだけはパソコンで制作している。写真の編集ソフトもパソコンになるといろんなことができる。でも、基本はもとの写真のおもしろさと、それを活かす技術である。

2015秋祭りポスター写真2_1

二人の表情はいいけれど、平凡な写真。それをトリミングしてポスターの背景にする。

酒井トリミング_1

これで秋祭りのポスターの土台はできあがり。
さてこれをどう料理したかというと、完成形が次の写真である。

2015秋祭りポスター

秋祭りのポスターだけど、それをメインに訴えるのではなくて、介護の未来をつくるチカラを表現したかった。「笑顔と想像力と冒険心」、この中で冒険心というのが今回の遊び心である。相手のことをどれだけ思いながらケアを行うことができるのかは、介護者の想像力の深さが左右する。想像力に欠ける人は介護者としては不向きなのである。誰が考えても、笑顔と寄り添う想像力は必要だと思うけれど、今必要なのは保守的で固定的な介護の概念をどこまで変えられるのかが問われているのだと思う。

僕たちは30年後の介護のあり方を想像して、介護の可能性を広げていきたい。そのためには冒険心が必要になる。今の介護を変えていく原動力は冒険の心がどの程度あるのかで決まっていくのだと思う。未来は自分たちで作ることができるのだ。

そこで出てくるのが映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2」の世界観である。マーティとドクの未来への冒険がおかしく描かれているこの映画は、ある意味想像力の勝利とも言えるかもしれない。スピルバーグの思いと監督のロバート・ゼメキスの手腕が見事に結晶した傑作映画であった。その世界観をちょっと拝借してみたのがポスターの文章。やっぱり冒険はいつになってもワクワクするものなのだ。

もう一つ誰も気づかないおまけを言うと、下部の秋祭りのテキストの背景の青色は、青色をべた塗りしたのではなくて、弘済院第1特養を見上げたときの青空の写真である。この日は雲一つない快晴であった。ポスターはこんな感じで作られていく。最初からこの図案と決めているのではなくて、あるときインスピレーションが働くのである。もちろんこの図案はネット上のパクリではありません。すべて自分で撮影した写真を加工したものです。なんちゃって、だれもそんなことは気にしていないけれどもね。

女も仕事が一番

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仕事の顔もいいですね。

男は苦笑い

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写真は嫌だって言ってるのに(-_-)

女は笑顔

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いつも笑顔でがんばるのだ(^_^;)

男は仕事

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仕事中におじゃまする。

いろんな人がいる

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仕事が終わればみんな自由。今からUSJに行くらしい。施設の玄関前でポーズを決める。レンズを近づけると紫のカラーコンタクトをしているのでロシア人のハーフに見えた(^_^;)

「介護の魅力を語る」4回目の撮影

職員による「介護の魅力を語る」シリーズも4回目になった。職員みんなの協力の下に動画は撮影されている。慣れない仕事なのにみんな夢中になっているところが楽しい職場なのだと思う。

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今日のゲストは久保さん。2年目の元気いっぱいの好青年。
自分の夢を語れているところがすばらしい。
久保1

司会は、ケアマネの尾上さん。
話術は施設で一番うまい。彼女がいるから明るい雰囲気が醸し出されている。
いつのまにかみんなを巻き込んでいるのはケアマネのチーム間の調整技術なのだろうか。
尾上

動画の監督と制作は河渕さん。
彼がいないとこの動画シリーズはできていない。いつも全力で制作してくれる。カメラは4台を回している。
なかなか本格的なところが頼もしい。
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メインのメンバーは動画で見てもらえるとして、今日のアシスタントは管理栄養士の勇上さん。
アシスタントという微妙なポジションを嫌な顔一つしないで演じてくれる。ということで、このブログではアシスタントをメインに載せておきます。
勇上8

心優しい栄養士さんです。
勇上6

勇上10

勇上2

アシスタントは目立ちすぎてはだめだけど、雰囲気作りも大切になる。
施設のイメージである、笑顔と優しさがふんわりと出ていたらいいですね。





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